シンガポール在住のエンジニア ナナフシです。
この記事では、機械プラント製図検定の実技試験に向けて、少し意識するだけで、より合格が近づくコツを、まとめています。
私は、指導を通じてこれまで様々な解答図面を見てきました。
実は、練習を重ねてくると、皆がミスするのは同じようなポイントです。
ある程度練習を重ねてきたあなたも、もしかしたら同じかもしれません。
そこで、差がつくポイントをサクッと確認できるように、カテゴリ別に分類してまとめました。
奇策ではなく、どれも当たり前のことばかりです。
気になる項目に目次からジャンプして、サッと目を通してください。
この記事は下記の方に向けて書きました。
- これから実技試験の練習を始める方
- 実技試験の練習を始めたけど、壁にぶち当たっていて何か突破口が欲しい方
- 試験直前に、得点アップのためのコツを知りたい方
そんな皆さんに、この記事が少しでもお役に立てればうれしいです。
機械プラント製図 2級・1級 実技試験のコツ
私は、長年設計に携わるとともに、後輩や部下の実技試験指導で、多くの解答図面を見てきました。
ある程度練習を重ねて描けるようになってくると、ミスをするポイントは皆さん似通ってきます(笑)
この記事では、皆がつまづくポイントを、実技試験のコツとして、下記のカテゴリに分けました。
それでは、順番に説明していきます。
実技試験 事前準備・心構えのコツ
最新JIS規格の製図ルールを確認する
皆さん、過去問を入手して練習を重ねていると思いますが、解答図例と自分の解答を見比べるだけでなく、今一度、最新JIS規格の製図ルールを確認しましょう。
企業で技術者をされている方は、普段の業務では、会社規定の製図ルールに従って図面を作成していると思います。
私の職場の場合、旧JIS+独自の表記が組み合わさったルールでした。
技能検定では、原則「最新のJIS規格によること」と明記されていますので会社独自のルールは考慮してくれません。
これを機に世の中の標準ルールを頭に叩き込んでおきましょう。
ミスが多く、特に注意すべきポイントは下記です。
私は、こちらの「JISにもとづく機械設計製図便覧」を活用して、最新JIS規格を確認しながら練習を重ねました。
100%の完成度を目指さない
業務で、図面を書くときは、
- 形状の一部が書かれていない図面
- 寸法が漏れている図面
なんて許されないですよね。
そんな図面では、モノが作れないですからね
そのため、実技試験でも、つい技術者魂を発揮して、パーフェクトな図面を目指してしまうと思います。
でも、作図にこだわりすぎて時間が足りず、寸法記入をできなかったら本末転倒です。
技能検定は試験です。
実技試験の合格基準は60点以上ですので、そこは気持ちを切り替えて、70%以上描けていればOKくらいの気持ちで臨みましょう。
大事なのは、少しでも多くの寸法を記入して、減点を減らすことです。
時間配分のコツ
実技試験は時間との戦いです。
合格に近づくには、特に
- 寸法記入
- 検図
の2つにいかに多くの時間を割くかがポイントになります。
私が、制限時間4時間の2級を受験したときは、下記の時間配分に収まるように練習しました。
作業 | 時間(分) |
説明文解読 | 5 |
読図 | 15 |
採寸 | 30 |
作図 | 70 |
寸法記入 | 90 |
検図 | 30 |
合計 | 240 |
ご自身の作業スピードに合わせて、目標にする時間配分を決めておくと、当日進捗を確認しやすくなるので、時間切れで寸法を記入できなかった、ということを防げます。
課題図 読図のコツ
読図する際に、蛍光ペンなどで指定の部品図をマーキングしていますよね?
でも、マーキングしても形状がイメージできない部分が出てきます。
そんなとき、「完璧に理解できないと気持ち悪くて次に進めない、、、」ではダメです。
わからない箇所に時間を費やすのはやめましょう。
ある程度で見切りをつけて先に進んでしまった方が、結果的に時間短縮につながります。
あとで、採寸や作図しているうちに理解が進み、結果的に不明点が解決される場合が多いです。
課題図 採寸のコツ
課題図を採寸するときのコツは2つです。
寸法の優先順位を意識して採寸
採寸する際には、「少しでも早く採寸を始めなければ、、、」と焦るあまり、片っ端から採寸したくなりますが、ちょっと立ち止まりましょう。
技能検定に限らず、図面の寸法には、優先順位があります。
採寸の際には、下記の優先順位を意識しておくと、迷わずにサクサク採寸できますし、寸法記入のときにもこの優先順位の考え方が生きてきます。
<採寸時の優先順位>
最外寸、基本形状の中心位置
↓
はめあい、公差を伴う寸法
↓
穴寸法
↓
その他の長さ寸法
↓
RC寸法
累進で採寸するのは、誤差が累積するので避ける
寸法は、中心線、接地面など適切な基準からそれぞれ採寸しましょう。
すべての寸法を端から累進で追って採寸すると、誤差が累積し、最後に全長が合わなくなるので、おすすめしません。
たった1㎜の測定誤差でも、累積すると結構無視できない量になり、「外形のつじつまが合わない」なんてことになります。
実技作図のコツ
作図のコツとして下記に挙げているポイントは、どれも当たり前のことばかりです。
しかし、練習を重ねていても、意外と間違いが多いポイントですので、ぜひ参考にしてみてください。
図枠は問題文の指示通りに書く
図枠の4辺に描く、「中心マーク」を忘れがちです。
図枠を問題文の指示通りに書くなんて当たり前、と思われたと思いますが、意外にできていません。
四周をそれぞれ20㎜あけて輪郭線を引き、四辺に中心マークを設けること
出典:中央職業能力開発協会
全体の表面粗さを忘れず記入する
問題文に、溶接面、鋳物面、機械加工面の表面粗さや、鋳物面のR寸法の一括記入指示がある場合、その指示に従いましょう。
少しでも早く作図したくて、つい忘れがちです。
各図は問題文の指示通りに配置する
側面図、下面図、平面図、局部投影図、部分投影図などは必要な図を指定のレイアウトで書きましょう。
求められていないのに、右側面図を書いてしまったり、局部投影図、部分投影図を指定場所以外に書いてしまうことがあります。
「断面にする」、「作図する」のは、中心線より上か下か、右か左か確認する
技能検定では、普段の業務ではあまり使わないような省略指示があります。
例えば、
- 右側面図は、中心線から右側を描き~
- 平面図は、中心線から上側を描き~
- 局部投影図は、ねじに関してのみ描き、中心線から右側を~
のような指示です。
このあたりを間違えると、致命傷になりかねないので、注意深く確認しましょう。
課題図にある形状や破線はすべて書いておく
課題図に書いてある形状や破線はできるだけ解答にも書いておきましょう。
わざわざ課題図に書いてある破線は、そこに破線がないと形状が指示できない重要な破線のことがあります。
穴の先に何か見えないか確認する
穴の先に見えるはずの形状を書き忘れるのも定番のミスです。
外形図に貫通穴がある場合、その向こうに何か見えないか、チェックしましょう。
リブのR、厚みは、回転図示断面図を書かないと指示できない場合がある
リブのR形状や、厚みは、通常の3面図だけでは指示できない場合があります。
その場合は、リブの回転図示断面図を適切な投影面内に追加しましょう。
寸法記入のコツ
作図が終わったら、いよいよ寸法を記入していきます。
寸法の優先順位を意識する(寸法記入漏れの防止)
寸法記入で大切なことは、記入漏れをいかになくすかです。
適当に思いついたところから寸法を入れていくと、記入漏れが出るので、記入の優先順位を意識して、順番に仕上げていきます。
- 1重要寸法
- 問題文で指示されている寸法
- はめあい寸法
- 公差を伴う寸法
- 基準中心線の位置
- 2主要寸法
- 穴サイズ、位置寸法
- ねじ穴サイズ、位置寸法
- 3補助寸法
- 重要寸法、主要寸法以外の長さ寸法
- 角度寸法
など
- 4幾何公差
- 5表面粗さ
- 6RC寸法
寸法は重点的に入れる図面を決める(寸法記入漏れの防止)
どの投影図に重点的に寸法を記入するか、自分の中のルールを決めましょう。
<寸法を重点的に入れる投影面の例>
優先順位:正面図→平面図→部分投影図→他
あちこちの投影図に、分散して書く場合に比べて、記入漏れを発見しやすくなります。
直径寸法へのφの要否、φとRの使い分け
直径寸法を記入する場合、「φ」の有無で、「φ10」、「10」の2つの書き方があります。
また、円弧の寸法記入の方法には「φ10」、「R5」の2つの書き方があります。
それぞれの使い分けを最新のJIS規格で確認しておきましょう。
表面粗さは、問題文で指示されたものを使い分ける
解答図で使用できる表面粗さは、問題文で指示されます。
必ず、指示されている表面粗さ数値を使いましょう。
例えば、
Ra 25、Ra 6.3 及び Ra 1.6のいずれかとすること
と指示されているのに、Ra 12.5 を使用したら減点になります。
機械プラント製図2級・1級 実技試験のコツ まとめ
実技試験のコツを以下のカテゴリに分けて、紹介しました。
- 練習のコツ
- 時間配分のコツ
- 読図のコツ
- 採寸のコツ
- 作図のコツ
- 寸法記入のコツ
どれも当たり前の内容ですが、少し意識するだけで、より合格が近づくと思います。
この記事が、少しでも機械プラント製図を受験する皆さんのお役に立てることを願っています。
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